2016/07/13

長田幹彦『秘本・阿部お定』

約65年ぶりとなる、長田幹彦執筆、阿部定をモデルとした幻の作品がついに復刻!

長田幹彦『秘本・阿部お定』をリリースしました。

書誌情報

・著者:長田幹彦
・解説:伊藤裕作
・表紙イラスト:aco
・編集:渡辺豪
・仕様:B6 / 228ページ / 並製 / グラシン紙カバー



忽然と消えた元遊女 阿部定

飛田遊廓、松島遊廓、丹波篠山遊廓で遊女として身をひさいでいた阿部定。昭和11年、軍国主義の風潮が忍び寄り、日本全体が重苦しい空気に包まれる中、淫蕩の限りを尽くした上に情夫の局部を切断し殺害する。刑期を終え、戦後は坂口安吾や織田作之助といった無頼派にも影響を与え、旅館や小料理屋の女将として晩年を過ごしながら、ある日、忽然と姿を消した。今も阿部定の消息は不明となっている。

阿部定を描いた幻の作品

当作品は昭和25年、花街文学で知られる作家 長田幹彦と阿部定が急接近して生まれた作品。実家を飛び出した阿部定が世間を流浪し、阿部定事件が起きるまでを描く。発表から66年、これまで再録されることのなかった初の復刻作品。

阿部定による手記も含む歴史的資料

当作品は戦後の爪痕残る昭和24年に発刊された『夫婦生活』に連載されていたもの。『文芸春秋』が20万部であった当時、同雑誌は最大発行部数30万部を誇った性技巧・性情報雑誌『夫婦生活』。当作品には、長田幹彦による小説の他、阿部定の筆による手記も収録されている。(昭和23年発行の『阿部定手記』とは別物)

これまで再録されることのなかった貴重な資料集を附録

長田幹彦による小説の他、後半には資料性の高い貴重な原稿を収録。
・性科学者 高橋鐵と阿部定の対談
・戦後に阿部定が全国巡業した際の手記
・阿部定事件を担当した弁護士 太田金次郎・竹内金太郎の回顧録
など全6篇。

『娼婦学ノート』伊藤裕作による解説

娼婦を描いた書評作品『娼婦学ノート』(2003年・データハウス)を上梓した伊藤裕作による解説。『〝娼婦学〟から見た阿部定』と題して、敗戦から朝鮮戦争までの文学作品に描かれた「娼婦像」から、阿部定という一人の娼婦と見つめ直す。

新事実が明らかになる発行者・編者解説

編者による作品解説の他、情夫石田吉蔵の戒名など、既存の阿部定研究本にはない新発見を提示。

愛蔵版仕様

本書カバーには、桃色のグラシン紙。表紙を担当したイラストレーター、acoさんによる描き下ろしポストカードを封入