2015/03/13

『東京街娼分布圖』(昭和27年)

〝街娼の季節が来た!〟
〝腋の下まで覗けるようなシミーズ、シミまでわかるブラウスの悩ましさも、まさに初夏…〟

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 むせ返すほどに扇情的な文句が誌面に踊る、東京都内の主要な街娼の出没地域を総ざらえしたあまりにも型破りな記録。

 昭和27年のこの記事は、有楽町、新橋、上野、浅草、新宿、池袋、成増他、これらの街に出没する街娼たちの生態と、その舞台となった街を捉えた。

 敗戦から10年に満たず、未だ混乱の残る街を彷徨する街娼たち。それら街娼には出没地域ごとに異なる〝女の味〟があった。上野には乞食同然の破れモンペを穿いた女も居れば、新橋には進駐軍を主な売笑客とする華やかな原色の衣裳に身を包んだ女も。

 記事中には、女たちによる誘いの手口、遊興費、交情場所、街娼たちの縄張り、ダンピングの手引きすらも掲載。まさに田村泰次郎『肉体の門』の世界。

 附図された地図には、「街娼」、「男娼」、「洋パン(外人専門パンスケ)」、「ポンビキ」など、種別ごとにプロットするこだわりよう…。
 付録として『当代街娼隠語豆辞典』も収録。官憲のキャッチ(検挙)から逃れ、結束力を高めるために用いた符牒・隠語。

 当時のカストリ雑誌は紙は劣悪、活字も欠けたような粗末な造本だった。今回は装幀はそういった雰囲気を再現。本来ならば印刷物には用いられない緩衝材のザラついた紙を用い、製本は原始的な糸綴じとした。(表紙はグラシン紙カバー、ピンク糸綴じ)

 戦後70年。いまや消えつつある色街の残滓。残された僅かな時間に、この資料がついに発掘!

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